「生活の困りごと何でも代行します」その名も“御用聞き”。料金はなんと、5分100円からです。
その依頼は実に様々。時には木の剪定(せんてい)に悪戦苦闘?そして時には、制限時間5時間でゴミに埋もれた部屋を片づけるミッションなど、困りごとなんでもやります!令和の便利屋“御用聞き”を追跡しました。
■資格がいらない作業なら“なんでもOK”
全国各地で地域の小さな困りごとを解決する会社「御用聞き」。注目すべきは、そのお値段です!
御用聞き 古市盛久代表(44):「生活ゴミ出しが5分100円」
ゴミ出しや郵便物回収などの家事代行サービスは5分100円から依頼することができます。
そして草むしり・大掃除などの大がかりな依頼は5分300円・30分2000円という価格設定です。
出張料が500円かかりますが、資格を必要としない作業であればなんでもOK。その手軽さから依頼が殺到しているのです。
■樹齢50年の柿の木を剪定 依頼者“こだわり”爆発
この日は東京・練馬区に住む79歳の山本さん(仮名)からの依頼です。
庭に関する依頼だそうですが…。
古市代表:「あれ柿?柿ですか?」
高さ4メートルほどの大きな柿の木。「伸びた枝を切ってほしい」という依頼です。普段は自分で切っていたそうですが…。
山本さん:「圧迫骨折」
古市代表:「あらま」
庭の作業中にまさかの転倒。しかしどうしても柿の木の世話をしたい理由がありました。
山本さん:「私が来年80だから。私が二十何歳、もう50年以上?あの木」
家を建てた時に植えた樹齢50年の柿の木。人生を共に歩んできた愛着がある木なんです。
山本さん:「はぁ…もうちょっと若かったらね」
何とかしてもらおうと、御用聞き・古市さんに頼ったものの。ここで山本さんの“こだわり”が爆発します。
山本さん:「ここ来てください。ここ、ここ、ここ」
古市代表:「こういうことね」
山本さん:「これで内側に切る」
古市代表:「難しいな」
立ち位置や“愛用の”特注枝切りバサミの使い方に注文が連発します。
古市代表:「師匠…師匠のレベルが高すぎて」
山本さん:「いや」
古市代表:「師匠、こういうことでしょうか」
山本さん:「ええ、そうです」
古市さんは師匠・山本さんのアドバイスを素直に聞き入れ40分ほどで作業は完了しました。
伸び放題だった枝がスッキリときれいになり、大満足の山本さん。木になっていた柿を振る舞ってくれました。
古市代表:「あ、甘い」
山本さん:「甘いでしょ」
古市代表:「もりもり食べちゃうな」
山本さん:「じゃあもう1つ」
古市代表:「いや時間なくなっちゃうから」
作業時間40分で料金は出張料を含め税込み3190円でした。
古市代表:「依頼者に寄り添うということは、汗をかく、一緒に知恵を絞る。そういうことが大事」
古市さんは作業の際、特に依頼者とのコミュニケーションを大事にしているといいます。
■11月…「片付けられない人」からの依頼急増
古市代表:「11月が『片付けられない部屋』の件数が増える月」
大掃除の時期に差し掛かるこの時期から「片付けられない人」からの依頼が急増するといいます。
依頼者は東京・中野区のマンションで一人で暮らす63歳の男性、岸さん(仮名)です。
岸さん:「(ゴミが)置いてあっても生活に困らないから気にならなくなる。もう袋1つ2つ捨てたぐらいでは追いつかなくなってきて」
コロナ禍で食事をデリバリーで済ませる機会が増えた結果、ゴミ捨てが追いつかなくなり、たまる一方に…。
古市代表:「コロナ禍になって買うものが増えるわけで、(コロナ後の)新しい生活習慣の中で捨てることが苦手な人は必然的に物の量が増える。アジャスト(調整)できない人々のSOSってやっぱり出てきていますよね」
■想定外の事実が判明「きょう引っ越し業者が来る」
今回、岸さんが御用聞きにSOSを出したのは“あるきっかけ”があったからでした。
岸さん:「このあと同居人が増えるので、そのための掃除でもある」「(Q.同居人は誰?)兄妹です」
60代の妹が部屋を探していたものの、借りることができず、突然引っ越してくることになったそうです。
早速、掃除を始めようとしたその時、想定外の事実が判明しました。
岸さん:「きょうは(妹の)荷物だけ運び込まれる予定」「(Q.きょう中に引っ越し業者が来る?)来ちゃう。ぎりぎりになってしまったので」「(Q.きょう?)きょう」
古市代表:「荷物が来る時間決まっていますか?」
岸さん:「3時すぎ」
古市代表:「おっとギリギリですね」
制限時間は5時間。果たして時間内で終わらせることができるのでしょうか。
■片付け始めると…8年前に届いたビールが3箱
その清掃は一筋縄ではいきませんでした。急きょ集まったスタッフは4人。値段も4人分になりますが、「どうしても時間内に終わらせてほしい」との依頼です。
まずはリビングの生活ゴミを一気に片付けていきます。すると…。
岸さん:「(Q.DVDレコーダーがいっぱいありますね)見ることはないのでいらないですよね」「(Q.もう、きょうは捨てる?)いや、これはこのまま。このままで」
岸さん:「これはビールだな。いつのだろう…平成27年だ」
8年前に届いたビールが3箱も出てきました。これはさすがに捨てますよね?
岸さん:「多分飲めると思います。味は落ちてるかもしれないけど」
古市代表:「これはどうします?」
岸さん:「取説だね」
古市さん:「いらない?」
岸さん:「いるいる」
なかなか作業がはかどらないようですが、古市代表はこのように話します。
古市代表:「依頼者の向かいに立つというより横に並ぶというか。寄り添うところですね」
掃除を進めていくと、こんな掘り出し物がありました。
岸さん:「2万円だ。すっかり忘れてた。親が死んだ時の香典」
■総額200万円以上の機材“自作スタジオ”
こちらの部屋では、こんなものも出てきました。
岸さん:「これで録音できるようになってます」
実はこの部屋、自宅で作曲ができるよう、総額200万円以上かけて機材をそろえた“自作スタジオ”でした。
岸さん:「(Q.これを機にやるのも?)そうですね。やる気にならないともったいない」
■引っ越し業者が来る直前に作業終了
引っ越し業者が来るまで残りおよそ1時間。ラストスパートをかけていきます。
岸さんの作曲部屋はダンボールがスッキリしました。そして足の踏み場がなかったリビングもカーペットが見えるようになりました。
すると、なんとか引っ越し業者が来る直前に作業が終了しました。
岸さん:「助かりました。1人だったら永久にできなかった」
4人で5時間の作業。料金は出張料含め税込み9万200円でした。
■“命にかかわる”理由で…「カーペットの移動」依頼
続いては、エリアリーダーの風間大地さん(26)。今回で4回目だというリピーターからの依頼です。
依頼者は、文京区のマンションに住む片岡さん(仮名・75)です。
片岡さん:「絨毯(じゅうたん)を移動しないといけないから、どうしようかなと思って」
今回の依頼は、「カーペットを1メートルほど移動してほしい」というもの。実は、このわずか1メートルが大きな意味を持っていました。
片岡さん:「左半身まひがあって、またぐ時にフローリングで滑ってしまう。かかととつま先が(同時に)着地してないから転倒してしまう」
30年前に脳梗塞(こうそく)を発症。さらに足腰も弱くなってきた片岡さんにとって“命にかかわる”1メートルなのです。
カーペットを移動させるため家具を運び出していきます。これで冬も安全に快適に過ごせます。作業はあっという間に終了。しかし、片岡さんにはまだ依頼があるそうです。
■2つ目の依頼は「終活中の話し相手」
片岡さん:「終活をやっている。色々整理しているわけ」
片岡さんは現在、終活中で写真の整理を進めているそうです。
片岡さん:「サハラ砂漠の奥地でコンクリートパイプで水を流そうとした」
せっかくなら「おしゃべりしながら楽しく整理をしたかった」そうです。つまり、もう一つの依頼は「話し相手」です。
現役時代、世界中を飛び回っていたという片岡さん。思い出話に花を咲かせること20分。
片岡さん:「ここで1人なので、お話できるのは本当にうれしいですね」
今回は「カーペットの移動」と「話し相手」の2つの依頼で、料金は出張料含め税込み3850円でした。
古市代表:「お互いにありがとうと言って温かい雰囲気が生まれるんですよね。その温かい情景が生まれる瞬間がやっていて良かったなと思いますね」
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